住民反対運動を招く東急電鉄の不誠実

週刊東洋経済が東急沿線の住民反対運動を特集

林田 力(2008-06-18 09:20)
Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク  newsing it! この記事をchoixに投稿
 ビジネス誌・週刊東洋経済2008年6月14日号は「「ブランド私鉄」東急沿線で住民反対運動が噴出するワケ」と題する記事において、東急沿線で続出する住民反対運動を取り上げた。企業の訴訟リスクに注目した「超・訴訟社会」と題する特集の一環である。

  この特集では元役員に583億円の賠償が命じられた蛇の目ミシン株主代表訴訟や度重なる不祥事(賞味期限切れ、産地偽装など)から廃業に追い込まれた船場 吉兆の問題も取り上げている。それらの記事と並び、地域住民からの訴訟リスクという観点から、東京急行電鉄(東急電鉄)の姿勢を批判的に論じた。

  記事では計画撤回に追い込まれた、すずかけ台駅変電所建設計画を中心に東急沿線で頻発する紛争を紹介する。ほかには、たまプラーザ駅高圧鉄塔移設計画、鷺 沼4丁目高層マンション建設計画、二子玉川東地区再開発事業、等々力駅地下化工事計画、荏原町駅社員寮建設計画、中延駅葬祭場建設計画、戸越公園駅前マン ション建設計画と合計8つの紛争を挙げる。

 記事は東急電鉄の秘密主義や住民への不誠実な対応が紛争を拡大させていると指摘した。その上で、企業改革がなければ東急のブランド価値は低下すると結ぶ。

  実はビジネス誌で東急がネガティブに取り上げられたことは今回が初めてではない。週刊ダイヤモンド2007年11月17日号では記事「ウェブ炎上、<発 言>する消費者の脅威-「モノ言う消費者」におびえる企業」において、インターネット掲示板「2ちゃんねる」上で東急リバブル・東急不動産の批判があふ れ、炎上状態になっていると伝えた。

 週刊ダイヤモンドの記事によると、マンション購入者が売り主の東急不動産を提訴した2005年2月以降、「自分もこのような目に遭った」と上記訴訟の枠を越えた批判が続出したという。

 上記訴訟は記者も度々言及しているものである。東急不動産(販売代理:東急リバブル)が隣地建て替えなどの不利益事実を説明せずにマンションを販売したため、消費者契約法に基づき、売買契約が取り消された事件である(記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」参照)。

  地縁や地域コミュニティーに根ざした住民反対運動と、顔も名前も知らない、匿名のネチズンによるインターネット上の炎上では性格は全く異なる。にもかかわ らず、批判の矛先がともに東急である点は興味深い。リアルスペースでも電子空間でも東急は激しく批判されていることになる。

 共通点は個 人の信頼を平然と裏切る、東急の不誠実な体質である。週刊東洋経済の記事では「東急グループが大切に紡いできた、美しい田園都市」などのうたい文句で、東 急沿線の環境の良さをアピールしておきながら、自社が変電所のような嫌悪施設を建設する時は「建築協定など知らない」「守る必要もない」と主張する。

 週刊ダイヤモンドの記事で言及された裁判もマンション販売時には「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」「風通しや陽射(ひざ)しに配慮した2面採光で、心地よい空間を演出します」をセールスポイントとしておきながら、実態は異なっていたことが問題であった。

  インターネットの問題をネットの特殊性から説明する傾向があるが、リアルもネットも動かしているのは個々の人間である。不誠実な対応をされれば憤るのは当 然であり、そこにリアルとネットの区別はない。個人は地域住民だったり、消費者だったり、ネチズンだったりとさまざまな顔を持つ。東急が個人を軽視し続け るならば、今後もさまざまな形で批判が噴出するだろう。


マイスクラップ 印刷用ページ メール転送する
60
あなたも評価に参加してみませんか? 市民記者になると10点評価ができます!
※評価結果は定期的に反映されます。
評価する

この記事に一言

more
評価
閲覧
推薦
日付
林田力
284
11
06/18 23:37
タイトル
コメント
Click here to find out more!
Click here to find out more!

オーマイ・アンケート

あなたは本をどのように入手していますか?
笹井 健次
インターネットにて購入している。
実際の本屋の店舗で購入している。
図書館などの施設で借りている。
家族や知人から借りている。
その他。
本は読まない。

empro

empro は OhmyNews 編集部発の実験メディアプロジェクトです
»empro とは?

活躍中

more