隣接地との境界確認をめぐるトラブル

境界標を設置し直すまでの紆余曲折

林田 力(2008-04-23 09:20)
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古い境界標。土台のコンクリートが崩れてグラグラになっていた=11日(撮影:林田力)
 不動産の境界確認をめぐるトラブルを報告する。記者が所有する都内の土地と隣接地との間で起きた事件である。境界確認と隣接地の解体工事によって損壊した境界標(きょうかいひょう)の再設置である。

  発端は隣接地(都有地)が不動産業者A社に払い下げられたことである。A社は隣接地に建てられていた古家を解体する工事を、2007年12月下旬から翌年 1月にかけて実施した。その解体工事の際に記者所有地と隣接地の境界標の土台を傷つけてしまい、グラグラする状態になってしまった。そのために境界標を設 置し直すことになったが、そこに至るまでには紆余(うよ)曲折があった。

突然求められた境界確認書への署名捺印

  A社が記者に求めた内容は境界確認の立ち会いおよび境界確認書への署名捺印(なついん)であった。A社は隣接地を更地として売却する予定で、買い手に境界 が確認できていることを明示するために境界確認書が必要であった。しかし、A社は自ら依頼するのではなく、A社が隣接地の測量を委託した測量会社B社に依 頼させた点が問題であった。記者として知らないところから唐突に電話を受けることになった。

 しかも、B社の人間は相手の事情に配慮する ということができないようで、記者が電話に出られない時は30分ごとにかけ直し、その度に「かけ直します」という類の内容のないメッセージを留守番電話に 吹き込むため、メッセージを再生するだけでも通話料がかかり、迷惑なことこの上なかった。しかも記者の方から留守番電話に残された電話番号にかけ直しても 通じず、結局、B社から突然かかってくる電話によってしか連絡を取ることができなかった。

 結局、2月10日にB社の測量士から電話があり、その日に会うことになった。B社の測量士は用意してきた境界確認書に署名捺印を求めた。それに対し、記者は以下の3点の問題を指摘した。

1.B社の提示する境界確認書にはA社の署名捺印がされていない。A社が先に署名捺印すべきである。

2.境界確認と言いつつ、署名捺印を求める文書の添付図がB社の測量結果となっている。測量に立ち会った訳でも、測量結果を確認する立場でもないため、測量結果を承認するような文書への署名捺印は筋違いである。

3.境界確認書の使用目的を明示して欲しい。別紙に「申請箇所」と記載されているが、何かの申請に使用するつもりではないか。申請手続きの添付資料として使用しないとのことだが、それならば条項に使用しないことを明記して欲しい。

 これらの問題についてB社測量士では判断できないため、A社と相談して対応策を決めてから、あらためて連絡することになった。

  また、B社測量士は境界標について「解体工事の影響で1センチほど北側に移動し、しかも多少グラついた状態になっており、南側に戻したい」と説明した。こ れに対し、記者は「原状回復は当然だが、移動させる場合は立ち会うので事前に連絡して下さい」と回答した。この日は、このやり取りだけで、具体的に境界標 を戻すための方法や日時についての話はなされなかった。

 ところが、2月18日午前9時過ぎにB社測量士が無断で記者所有地の敷地内に入 り、境界標の除去作業を始めた。当時、記者は所有地の住居内にいたため、作業に気付き、止めさせた。所有者に無断で作業をしたことについて詰問したが、 「境界標を移動するために一度、引っこ抜く。埋め戻すための目印にするために杭(くい)を打っていた」と作業の説明に終始するばかりで、無断で作業するこ とに対する反省がうかがえなかった。

 この出来事の後、翌19日にB社の別の従業員から電話があったが、「境界確認のためにあらためて面 会したい」と要求するばかりで、当該従業員は2月10日に記者が指摘した境界確認書の問題点も2月18日になされた無断作業についても把握していなかった ため、「話にならない」として拒否した。

 その後、数回のA社従業員の訪問および電子メールでのやり取りによって、相互の主張を重ねていった。残念なことにA社従業員は記者とB社とのやり取りを全く把握しておらず、そのため1から説明することになり、無駄な時間と労力を費やしてしまったことは事実である。

新しい境界標(中央のコンクリート杭)を設置中=11日(撮影:林田力)

 指摘事項の1番目の点と3番目の点は記者の主張が問題なく受け入れられた。問題は2番目の点である。記者所有地と隣接地が接している場所につい て、B社の測量結果と記者所有地の登記簿上の地積測量図に相違があった。これが記者としてはB社の測量結果に署名捺印する訳にはいかない事情であった。署 名捺印したならばB社測量結果について記者も同意したことになるためである。一方で逆の立場に立っても同じことが言えるだろう。

 この点 については、3月15日に双方立ち会い上で実際に測量した結果、記者所有地の地積測量図が正しいことが確認されたため、その地積測量図を参考に境界確認を 行うことで決着した。境界確認書には地積測量図を添付することになった。境界が確認できたため、4月11日に双方立ち会いの上、境界標を設置し直した。

業者間の連携の悪さは業界の体質か

 一連の経緯の中で強く感じたことは、不動産業者は合意を積み上げていくという発想に乏しいのではないかということである。その場しのぎのご都合主義である。

  第1に社内および業者間の横の連絡が全くできていない。記者は境界確認書の問題をB社の測量士に説明したにもかかわらず、B社のほかの従業員もA社従業員 も「聞いていない」と主張した。まるで記者がうそをついているみたいに思われるので、「過去の経緯をB社測量士に確認して下さい」と何度もお願いしたが、 それでも確認しない。反対に記者に対して「もう一度説明して下さい」と要求してくる。たとえ目の前の本人に聞いた方が早いとしても、それは筋違いである。

 第2に前に言ったことと違うことを主張する。前述のように担当者が変わってしまえば横の連絡がないため、前任者に話したことが無視される。それだけでなく、同じ担当者と話していても、過去にした時の話と違うことを平気で言ってくる。

 筆者は過去に購入したマンションについてのトラブル経験を、記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」にした。

  その時の売り主の東急不動産や販売代理の東急リバブルは上述の2点を極端な形で行っていた。このような態度は、都合の悪い内容は反故(ほご)にして、自社 の要求だけを受け入れられるまで繰り返す場合には都合がいい。しかし相手側にとってはばかにされた、軽視されたと感じるものである。

 不 都合な事実を隠して問題物件をだまし売りしたようなケースでは、消費者に泣き寝入りを迫るために意図的に行っていると考えられる。一方、本記事に登場した 業者には、そこまでの悪意があるとは思えなかった。だからこそ記者も腹を立てながらも話を重ね、一定の合意に至ったのだが、無意識的ではあるにせよ、似た ような態度がとられたことは注目に値する。いわば不動産業界の業界的な体質なのではないかと考える。

【編集部注】記事中のリンク先に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(8/23 21:26)



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