不動産仲介「両手取り」の悲劇

購入時には細心の注意とキャンセルする勇気が必要

林田 力(2007-11-20 18:35)
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 仲介で不動産を購入しようとした時に、感じた不合理を報告する。

 数年前に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンションを購入したが、隣地建て替えなどの不利益事実を隠していたことが購入後に判明したため、消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消した(参照:2007年3月2日 「東急不動産の実質敗訴で和解」)。

 そして、このマンションの売買契約を取消したため(要するに、返品することになったため)、新たな住居を探す必要が生じた。選択肢の1つとして中古不動産の購入を検討した。本記事は、その際の経験をまとめたものである。

 インターネットのポータルサイトから、条件(立地、価格、面積、間取り、築年数など)にあった物件を探し出し、その物件情報をもって不動産業者 (=A社)に内覧の手配を依頼した。しかし、A社が、売主側の仲介業者(=B社)に確認したところ、物件は既に成約済みと回答を受けた。

 その物件広告は、掲載されたばかりで、すぐに売れてしまったのが信じられなかった。加えて当該物件は条件に合っていて、諦めきれなかった。

 そこでダメモトで、直接B社に電話で問い合わせた。すると、驚いたことに売れておらず、案内も可能との回答であった。

 A社経由で問い合わせた場合と、B社に直接問い合わせ場合の矛盾は、不動産仲介の「両手取り」を考えると説明がつく。

 不動産仲介は、売主と買主の間に「仲介業者」が入って、取引を成立させる契約の形態である。売主や買主が独力で、取引相手を探し出すことは困難な場合に有益である。仲介業者が、物件の買い手、または売り手を探し出してくれるためである。

 他にも仲介業者は、契約条件の交渉や様々な手続きを行う。この報酬として、売主・買主は、不動産仲介会社に仲介手数料を支払う。逆に言えば、仲介業者にとっては仲介手数料が売り上げになる。

 不動産の売主は仲介業者に売却を依頼する。また、買主は仲介業者に条件にあった物件探しを依頼する。両者の条件が、マッチすれば取引が成立する。この場合、買主と売主は、それぞれ自分の仲介業者に仲介手数料を支払う。

 一方、売却を依頼された仲介業者が、自社の広告などで買い手を探し出す場合もある。この場合、取引を成立させると、仲介業者は売主・買主の双方から仲介手数料を受け取れる。

 1回の取引で2回分の手数料を得られることになるので、これは仲介業者にとってオイシイ取引となる。両方の手で、手数料を受け取ることから「両手取り」と呼ばれる。

 問題なのは、「両手取り」しか考えない業者が、存在することである。これがB社の矛盾した回答の原因と考えている。

 即ちA社経由の問い合わせの場合、A社が買主の仲介業者となるので、成約した場合、B社が得られるのは、売主からの仲介手数料のみである。

 一方、購入検討者が直接B社に問い合わせた場合は、成約すればB社は、買主・売主双方から仲介手数料を受け取れる。

 「両手取り」を目的とする場合、他社からの引き合いには「売れた」と嘘をついてでも断り、自社に客が付くのを待つのが合理的となる。

 このような仲介業者の最大の被害者は、当該仲介業者を信頼して売却を依頼した売主である。

 本来ならば、他の業者が見込み客をつれてくるにもかかわらず、B社のところで止まってしまう。もっと高く買ってくれる買い手がいるかもしれないのに、B社が連れてきた買い手にしか売れない。

 売主にとっては、誰が連れてきた買い手でも、高く買ってくれればいい筈である。この点で仲介業者と売主の利害は衝突する。仲介業者が自社の利益を優先させると、売主の信頼は裏切られてしまう。

 第2の被害者は、別の仲介業者経由で購入しようとした検討者である。今回は、直接B社に問い合わせたために真相が分かったが、そこまですることは 少ない。買える筈の物件が、買えないことになる。また、B社仲介でしか買えないということは、買い手にとって仲介業者を選択する自由が害されたことにな る。

 多くの仲介業者は、仲介手数料を法定の上限「取引金額×3%+6万円」とするが、数少ないながら仲介手数料を、上限から大幅に減額する不動産業者が現れている。インターネットで「仲介手数料半額」「仲介手数料無料」などで検索すると発見できる。

 A社もそのような業者の1つであった。業者を選ぶことで、仲介手数料の安く済ませようとした私の目論見は潰えてしまった。

 ただし、B社のような「両手取り」を追求する業者は、何が何でも自社が連れてきた客でまとめようとするため、買い手の要望も汲んでくれやすい面がある。

 仮に、他社が好条件を提示する買い手を連れてきても、売主には告げずに、自社の買い手と取引をまとめることになる。この点を上手く利用できれば、買い手にとって良い取引ができる可能性がある。この意味でも、最大の被害者は売主である。

  ◇

 最後に上記物件取引の顛末を報告する。条件が折り合い、申込みまではしたものの、測量したところ、公簿面積よりも1割程度狭いことが判明した。

 この点については、契約条件変更で合意に至ったものの、更なる問題が生じた。売主の責任で正しい面積での、地積更正登記を行うことになっていたが、なし崩し的にB社の説明が変わっていった。

 境界立会いの関係で、登記が引渡し後に遅れることになった。この結果、買主が名義上、地積更正登記を申請しなければならないと条件が変わってしまった。

 登記申請人を誰とするかについては、東急不動産とのトラブルで痛い目に遭っているため(参照:2007年7月9日「東急不動産、『和解成立』後も新たなトラブル」)、取引をキャンセルすることとした。

 売買契約締結前なのでペナルティーはないが、引越先探しは振り出しに戻った。当該物件は2007年8月頃に売りに出されたが、現時点でもポータルサイト上には広告が出ている。



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