マンション管理会社を変更して、経費削減に成功

剰余金発生、修繕積立金に繰り入れられるまでになった

林田 力(2007-08-28 05:10)
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 東急不動産株式会社が分譲したマンション「アルス」(東京都江東区)では、管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 アルスは、売主である東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社である株式会社東急コミュニティーに管理を委託していた。管理委託 費は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーが作成した長期修繕計画に計算誤りが判明したため、管理会社変更 の機運が高まった。

 東急コミュニティーが2004年6月9日に作成した長期修繕計画では、一般会計に算入されている駐車場駐輪場料金(年額200万円弱)を修繕積立 金会計に算入して、資金計画を立てていた。実際の修繕積立金会計の収入は、計画上の修繕積立金収入額よりも、駐車場駐輪場料金に相当する200万円分少な いことになる。

 ここで長期修繕計画通りに支出が行われた場合、最初の大規模修繕時には、修繕積立金が1013万1千円不足することになる。現行の修繕積立金の年間積立額は196万4280円であるため、この不足額は約5.16年分の積立金額に匹敵する。

 また、東急コミュニティーによる管理組合文書漏洩も明らかになった。文書漏洩判明後の東急コミュニティーの対応も、管理組合の不信感を高める一方であった(記事「事故を公表せず、隠そうとする体質が多い」参照)。

 事態を重視した管理組合理事会は、管理委託費を削減するため、複数の管理会社に見積もりを依頼した。この見積もり依頼の過程で、東急コミュニティーが管理委託契約書通り業務を実施していないことも判明した。

 第1に管理委託契約書では、宅配ボックスの定期点検回数は年4回とある。しかし、実際は年1回しか実施していないことが判明した。

 第2に管理委託契約書ではホームセキュリティー業務として、各専有部分の侵入警戒を実施することを定めている。しかし実際は一戸の専有部分しか侵入警戒を実施していなかった。

 10社以上の管理会社に見積もりを依頼した結果、現行と同程度のサービス内容で、年間60万円~170万円も管理委託費を軽減できることが判明した。並行して東急コミュニティーにも値下げを複数回打診し、毎回断られた。

 管理組合理事会では、2006年7月31日、見積もりを提示した管理会社から5社に絞り込み、住民向けに説明会を実施した。説明会後の住民アンケートで独立系管理会社N社が多数の支持を得た。決め手は以下の通りである。

 ・管理委託費の安さ
 ・近隣マンションでの管理実績
 ・資料の充実度(管理委託契約案まで添付していた)
 ・事前準備の綿密さ (見積もり時にマンションの図面などを要求する管理会社が多いなかで、N社は情報サービス会社を利用して情報収集しており、役員の負担が軽かった)

 アンケート結果を受け、2006年8月26日、管理組合総会でN社に管理を委託することを決定した。東急コミュニティーとは、分譲後僅か3年で関係を終了したことになる。管理会社をN社に変更することで管理組合は年間約120万円も管理委託費を削減できた。

 1年後の2007年8月26日、管理会社変更後の最初の定期総会で、一般会計の余剰金は修繕積立金会計に繰り入れた。

 管理委託費の安い管理会社に変更する場合、「安かろう、悪かろう」の心配が指摘されるが、全くの杞憂であった。実際、N社の仕事ぶりは東急コミュニティーを上回った。

 東急コミュニティーが建物点検で全く指摘していなかったマンション共有部の不具合を幾つも指摘し、東急不動産と折衝し、(管理組合の負担ではなく)アフターサービスで補修させた。主な不具合は以下の通りである。

 ・エントランス天井排水管周りの漏水
 ・ゴミ置き場の鍵の破損
 ・エントランスのタイル・シール目地が固まっていないことによるタイルの 染み
 ・排水通気管が細いことによる排水時のゴボゴボ騒音

 最後の排水通気管の問題は、「マンション欠陥施工に対する東急不動産の呆れた説明」で取り上げている。

 また、駐輪場利用者名簿を整備する過程で、東急コミュニティーが駐輪場使用者に駐輪場使用料を請求しなかったり、逆に、駐輪場非使用者に駐輪場使用料を請求したりしていた事実が判明した。

 一般に分譲マンションではデベロッパーにより、デベロッパーの子会社を管理会社とすることが強制的に指定されている場合が多い。これはマンション住民にとっては抱き合わせ販売に他ならない。

 一方、管理委託費を削減し、余剰金を修繕積立金に回すことは、管理費・修繕積立金の値上げや大規模修繕時の一時金というような負担を低減することになり、マンション住民にとって魅力的な方法といえる。

 管理会社の変更は自由の筈だが、決めるのは個人ではなく区分所有者の集まりである管理組合であるため、進め方が難しいことも事実である。本記事が管理組合を良くしていこうと考えるマンション住民の参考になれば幸いである。



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