東急リバブル、契約優先主義でトラブル

「重要事項説明」を軽視する慣習のツケ

林田 力(2007-05-21 11:55)
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 「宅地建物取引業法」という法律がある。宅地及び建物の取引の公正を確保することで、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的(第1条)とする法律だ。

 不動産購入者を守るための法律だが、この法律があるにも関わらず、不動産売買で「業者に騙された」という例は多い。

 その一因として、必ずしも不動産業者が、「宅地建物取引業法」の趣旨を遵守して取引をしている訳ではない点が挙げられる。

 これから紹介する不動産取引事例は、大手業者が扱った取引であり、「宅地建物取引業法」の趣旨からは疑問符が付く。

重要事項説明は安心できる住まいの必須条件(写真はイメージ)

 それは東急不動産株式会社(東京都渋谷区、植木正威社長)の新築マンション「アルス東陽町301号室」の売買である。このマンションは、東急不動産の子会社東急リバブル株式会社(東京都渋谷区、袖山靖雄社長)が販売を代理し、記者(=林田)が購入した。

 この売買で、記者は2003年6月26日に重要事項説明を受け、同じ日に売買契約を締結している。

 2003年6月26日に重要事項説明を記者が受けたことは、同日付の受領書に「重要事項の説明を受けました」と記載されていることから分かる。ま た同日、売買契約を締結したことは、同じ受領書に「同法第37条に基づく売買契約時の交付図書の受領も兼ねます」と記載されていることから分かる。

 「宅地建物取引業法」は第35条で、契約締結前に宅地建物取引主任者に重要事項説明を義務付けている。

  重要事項説明は、物件と取引の内容を確認し、間違えのない契約をするためのものである。重要事項説明を受けた購入予定者は、その内容を隅々まで理解した上で、契約を締結するか否かを判断することが期待されている。

 ところが東急リバブルの受領書の書式では、重要事項説明を受けたことの受領書と、売買契約時の交付図書の受領書が兼ねられている。ここからは東急リバブルが重要事項説明直後に契約締結を行っていることがうかがえる。

 東急リバブルが、迷惑隣人について説明せずに、中古住宅を仲介したとして説明義務違反が認定された事件においても、契約締結直前に重要事項説明を行っている(大阪高判平成16年=2004年=12月2日金融・商事判例1223号21頁)。

 契約締結直前に、重要事項説明を行う東急リバブルのやり方は、購入予定者にとっては熟慮する時間なしで契約を迫られるため、好ましいとは言えない。

 それを自覚してか、「アルス東陽町301号室」の売買契約では、契約書の日付が2003年6月30日になっている。301号室購入者(=林田)は 「契約締結は6月26日に行われたが、東急リバブル販売担当者の指示で契約書に日付を6月30日と書いた」と記憶している。受領書の日付が6月26日であ ることが、それを裏付ける。

 東急リバブルの姿勢は、消費者の購入判断に資する情報を提供する手段としての重要事項説明を軽視している。「宅地建物取引業法」で規制されているから行っているに過ぎない。積極的に「宅地建物取引業法」の目的とする購入者の利益保護を図ろうとするものではないのだ。

 アルス東陽町301号室は、購入後に不利益事実(隣地が建て替えられて日照・眺望が妨げられること、作業所で騒音があること)が明らかになり、紛 争になった。結果は、東急不動産の実質敗訴で、2006年12月に和解が成立した。しかし、2007年3月末までに行わなければならない和解条項の履行を めぐって、トラブルが生じている。

 このような紛争が起こらないようにするために「宅地建物取引業法」があるべきだが、残念ながら法の目的通りにはなっていないのが現実である。



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