「太陽は西から昇りました!」
アナウンサーは、そう表現した。
ドリームマッチと銘打たれ、ボクシングの常識を破った階級無視のマッチメイクは、
予想外の――というか予想してはいけなかった(?)――結末を迎えた。
小説、TV、映画、etc.。
様々な物語が身近にある環境で育ったきた私たちは、安直にドラマを求め過ぎている。
でなければこんな試合が組まれるはずがない。
だが、ドラマというものはそんな都合よく生まれてはくれない。
私は、体格で上回る方(デラホーヤ)が危なげなく勝利するのでは、という反ドラマチックかつ極めて真っ当な予想をしていた。
その予想はパッキャオの拳によって木っ端微塵となった。
フライ級のチャンピオンだった男が、元ミドル級チャンピオンをワンサイドで下したのだ。
マニー・パッキャオ(8R終了TKO)オスカー・デ・ラ・ホーヤ
伝説が敗れ、新しい伝説が生まれた。
これまで、不利予想の戦いを幾度となく覆してきた男、マニー・パッキャオ。
このフィリピン人ボクサーは、驚かすことを止めない。
同時代を生きている私たちは、伝説の目撃者になれるのだ。
何という特権だろう。